Melting Pot of Thoughts

SaaSスタートアップのCTOです。思考の整理のため考えたことをメモとしてアウトプットしていくブログです。

『How Google Works』を読んだ感想

『How Google Works 私達の働き方とマネジメント』という本を読みました。一昔前に話題になった記憶がうっすらある本で、調べてみたら2017年9月発行で4年半前に出た本でした。文庫本サイズでたまたまお手頃価格で書店に並んでいたので、購入して読んでみました。

 

書名の通りGoogleに関する本なのですが、著者はエリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグの2名です。エリック・シュミットは有名人なのでご存知の方も多いと思いますが、GoogleのCEOと幹部の人間が書いた本というのが大きな特徴です。

内容はGoogleの文化・戦略・組織体制・採用などについての本です。理論的で堅苦しい感じなどは一切なく、具体的な事例に富んでいてサラッと読めるような内容で、読み物として純粋に面白い本でした。

 

Googleは特殊な会社なので参考にできる範囲は限られていますが、読んでいて特に面白いなと思ったポイントがいくつかあったので、自分への備忘のため書いてみました。

 

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1. "スマート・クリエイティブ"

Googleは自分たちが採用しようとしている現代型の優秀な人材を”スマート・クリエイティブ”という呼び名で呼んでいるようです。要約すると以下のような定義です。

スマート・クリエイティブは、従来型の優秀な人材を表す”ナレッジ・ワーカー”という概念とは全く異なります。ナレッジ・ワーカーは専門性をとことん突き詰めた優秀な人材のことを指しますが、スマート・クリエイティブは多才で専門性とビジネススキルと創造力を持った人材です。

スマート・クリエイティブになりえる職種はエンジニアだけにとどまらず、医師・映画監督・数学者・シェフなどあらゆる分野にいます。実行力に優れ、単にコンセプトを考えるだけでなくプロトタイプを作る人間です。

スマート・クリエイティブは専門知識を持ちながらも、それを活かして他者と協働し、素晴らしい成果をあげるような人材です。そして意欲や能力があり、これまでの常識的な方法に疑問を持ち新しいやり方を積極的に試す人間です。

 

スマート・クリエイティブのマネジメントはことさら難しいという問題があります。マネジメントで特定の考え方をスマート・クリエイティブに押し付けることはできないので、Googleは彼らが創造的に物事を考え、喜んで働きたくなる”環境”をマネジメントすることにしました。

 

読んでいて思ったこととしては、スマート・クリエイティブはまさに新規事業の現場に必要な人材像だということです。新規事業においては専門性も重要ですが、刻々と変化する事業・組織のフェーズに合わせて自分のやり方を柔軟に変え、他者と協働しつつ成果をあげるスタイルが必要だからです。

マネジメントが難しいという点も両者共通するものがあるので、「人ではなく環境をマネジメントする(スマート・クリエイティブをマネジメントしようとすると辞めてしまう)」という考え方は心に留めておきたい内容だと思いました。

 

2. 7のルール

Googleには「マネージャは最低7名の直属の部下を持つ」というルールがあるそうです。他社では7のルールと言うと「マネージャは最高でも7名までの部下しか持てない」という意味になるそうで、Googleはその逆のようです。

なぜこのルールがあるのかというと「組織をフラットな構造を保つため」「部下が多いことでマイクロマネジメントできないようにするため」ということでした。

 

読んでいて思ったこととしては、エンジニア組織にはEM(エンジニアマネージャ)という役職名のマネージャ職がありますが、EMが各チームごとに必須でいる必要はないなと思いました。個人的な先入観で「1チームには必ず1人のマネージャがいる」と考えていましたが、確かにマネージャがいることで意思決定のボトルネックになりスマート・クリエイティブが活躍できなくなる問題があるので、EMが複数チームを見るパターンもアリだと感じました。

近年では「2枚のピザの法則」が有名になり、1チームあたりの人数は4~10名程度ぐらいの規模が多くなってきているので、EMをチーム専任にしない組織パターンはEMに持たせる役割次第ではアリだなと思いました。

3. アハライ

イスラエルの戦車司令官は戦闘を開始する時「突撃!」ではなく「アハライ(ついてこい)」というそうです。スマート・クリエイティブのリーダーになるのであれば、この姿勢が重要だと書かれていました。

個人的にすごく共感できるいい内容だったので、ピックアップしてみました。

 

4. 採用は一番大切な仕事

経営者の仕事のうち最も大切な仕事は「採用」だと書かれていました。Googleのようなテック重視の企業でも行き着くところは採用なんだと思うと、自分もしっかり頑張らなければと思いました。「面接のスキルは最も重要」という章もあり、採用活動を重視する姿勢がものすごく表れていました。

 

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以上、ほぼ自分用の振り返り記事でした。